条件と期限 不確定期限付きの債務

 今回は、条件と期限について取り上げたいと思います。条件と期限は、一定の事実の発生によって効力が発生したり、消滅したりするという点では共通していますが、条件が将来発生することが不確実な事実の成否にかからせているのに対し、期限は将来発生することが確実な事実にかからせている点が異なります。

 以下では、具体的な例をみてみたいと思います。
 受験シーズンもいよいよ大詰め。読者の皆さんの中には、「大学に合格したら、車をあげよう」という約束をしている方もいるのではないでしょうか。このように、条件が成就したときに効力が生じるような契約を、法律上、停止条件付きの債務といいます(民法127条1項)。
 では、こうした停止条件付きの債務を負っているときに、あなたが無理やり受験できないようにした場合(通常、そのようなことはないと思いますが…)、契約はどうなるのでしょうか? こうした場合、法的には、相手方は条件が成就したものとみなすことができ、約束どおり車をもらうことができることになります(民法130条)。
 
他方、親しい人からお金を借りる場合、「出世払いで」ということがあります。この出世払い契約の法的性格には議論がありますが、先ほどの停止条件と考えると、出世しない限り支払わなくてもよいことになってしまいます。
 しかし、こうした場合、「出世するか、あるいは出世しないことが確実となったら支払う」と考えるのが通常でしょう。このように、将来事実が発生することは確実でも、それがいつになるか不確実なものを不確定期限付きの債務といい、事実が発生したとき、あるいは不発生であることが確実となったときに支払い義務が発生することになります(民法135条)。過去の判例にも、出世払いを不確定期限付きの債務としたものがあります。