無効と解除

無効と類似の概念
無効と類似の概念としてよく比較されるのが取消であり、以下の点で無効と異なるとされる。

無効は特定の者の主張がなくとも当然に効力を生じないのに対し、取消は効力が一応生じている法律行為につき法律で認められた取消権者が取消すことによって行為時に遡って効力を失うことになる点で異なる。しかし、現在、一定の法律行為の無効に対しては、解釈や判例のレベルで、主張適格者の限定などを認めており、無効の取消し化が進んでいる(ex.錯誤無効の主張適格者につき、最判昭和40年9月10日民集19巻6号1512頁)。元々両者の異同は前述の制度趣旨のために立法判断で作られた便宜に過ぎないので、それぞれの場合に応じて無効の性質につき相対的無効や取消的無効(後述)であると解されている場合もある。
無効な法律行為は時間が経過しても法律上の効果を生じることはないが、取り消すことができる法律行為は取消権が時効期間や除斥期間にかかって消滅すると取り消すことができなくなる。
無効な行為は追認によってもその効力を生じないが、当事者がその行為の無効であることを知って追認をしたときには新たな行為をしたものとみなされて追認時から効力を生じることになる(119条)。これに対して、取り消すことができる行為は、法律で認められた追認権者が追認したときは法律行為の時から確定的に有効なものであったことになり以後は取り消すことができなくなる(122条)。
このほか無効と類似の概念として、撤回、解除、解約などがあるが、それぞれの概念については各項目を参照。